漢字ドリルを開いたとたんに機嫌が悪くなる。きのう書けた字が、きょうはもう書けない。1年生の漢字練習では、こうした場面はめずらしくありません。
大人がつい焦ってしまうのは、80字という数が決まっていて、「ここまでに覚えないと」と考えてしまうからかもしれません。まずは、1年生の漢字がどのくらいのペースで身につくものとされているのかを確かめておきます。
覚えるのに時間がかかるのは、ふつうのこと
学習指導要領では、1年生は1年生の漢字を「読み、漸次書き」、2年生になってから1年生の漢字を書いて使えるようにする、という流れになっています。1年生のうちに全部を書けるようにならなくても、あわてなくてよいと考えられます。
しかも漢字は、ひらがなとちがって、1つの字に読み方がいくつもあり、形も複雑です。ひらがなを覚えたばかりの子が、すぐに全部を覚えられなくても、おかしなことはありません。一度覚えた字を忘れるのも、覚える途中ではよくあることです。何度か忘れては思い出すことをくり返すうちに、少しずつ定着していきます。
嫌がるのは「書くこと」かもしれない
「漢字がきらい」と言う子の話をよく聞くと、同じ字を何度も書かされるのが嫌だった、という場合があります。1年生にとって、同じ字をマスいっぱいに書き続けるのは、手も疲れるし、退屈な作業です。
そんなときは、読む練習と書く練習を分けてみてください。読むだけなら、えんぴつを持たなくてもできます。カレンダーの曜日を読む、お店の看板から知っている字を探す、絵本の中の漢字を指さす。こうした「読む」遊びで漢字に親しんでおくと、書く練習のときにも形を思い出しやすくなります。
書く練習は、1回に2〜3字、1字につき数回で十分です。量を減らしたぶん、1字をていねいに書けたかどうかを一緒に見てあげてください。
できた字を数える
覚えていない字ばかりに目を向けると、子どもは「自分はできない」と感じてしまいます。反対に、読める字を数えると、思ったより多いことに子ども自身が驚くことがあります。
「1年生で習う漢字80字の一覧」を印刷して、読めた字に丸をつけていく方法があります。丸の数が「30こ」「35こ」と増えていくのが見えると、前に進んでいる実感につながります。
ほめるときは、結果より、何ができたのかを具体的に伝えてください。「『右』と『石』、ちゃんと読み分けられたね」「きょうは『休』の字、自分で見つけたね」。何をほめられたのかが分かると、子どもは次も同じことをしようとします。
まちがえたときの言い方
まちがいを見つけたとき、「ちがう」「さっきもやったでしょ」という言葉はつい出てしまうものです。代わりに使える言い方をいくつか挙げておきます。
- 「おしい。ここだけ、もう一回見てみようか」
- 「この2つ、よく似てるよね。どこがちがうか探してみよう」
- 「読み方はちゃんと合ってるよ。形をもう少しだけ確かめよう」
ゲームを使うときの約束
紙の練習を嫌がる子には、ゲームが漢字に向かうきっかけになることがあります。ただし、楽しいものほどやめどきが難しくなります。遊ぶ前に、家庭で次のようなことを決めておくと安心です。
- 回数:1日に何回まで遊ぶか
- 場所:大人の目が届くところで遊ぶ
- 広告:広告が出たときは押さずに大人を呼ぶ、など
「かんじの ほしあつめ」は、1回が10問・1〜2分ほどで終わります。続けて20分遊ぶと、ひと休みをすすめる画面が1度だけ出ます。ゲームの中のものは広告を見なくてもすべて手に入るので、「広告のボタンは押さない」という約束にしても困ることはありません。
読むのはゲーム、書くのはノート、と役割を分けておくと使いやすいはずです。最初は、線の数で数を表す字が並んだ「かず」のステージから始めると、1年生でも入りやすいはずです。
出典
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」第2章 第1節 国語〔第1学年及び第2学年〕〔知識及び技能〕(1)エ
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm
(文:こたえや編集部)
記事の一覧へ